轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にせんどうか

二銭銅貨

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1923(大正12)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,143 字 · 34 页

青空文庫

けれども、読者諸君の好奇心を充す為に、私のいたずらについて、一言説明して置かねばならぬ。

正直堂という印刷屋は、実は私の遠い親戚であった。私はある日、せっぱ詰った苦しまぎれに、そのふだんは不義理を重ねている所の親戚のことを思出した。そして、いくらでも金の都合がつけばと思って、進まぬながら久し振りでそこを訪問した。――無論このことについては松村は少しも知らなかった。――借金の方は予想通り失敗であったが、その時図らずも、あの本物と少しも違わない様な、其時は印刷中であった所の、玩具の札を見たのである。そしてそれが、大黒屋という長年の御得意先の註文品だということを聞いたのである。

私はこの発見を、我々の毎日の話柄となっていた、あの紳士泥坊の一件と結びつけて、一芝居打って見ようと、下らぬいたずらを思いついたのであった。それは、私も松村と同様に、頭のよさについて、私の優越を示す様な材料が掴み度いと、日頃から熱望していたからであった。

あのぎこちない暗号文は、勿論私の作ったものであった。併し、私は松村の様に外国の暗号史に通じていた訳ではない。ただ一寸した思いつきに過ぎなかったのだ。