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「にせんどうか」をよむ
「二銭銅貨」を読む
小酒井 不木
「新青年」1923(大正12)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,147 字 · 5 页
丁度ルブランの「アルセーヌ・リュパンの捕縛」を読んだ気持である。銅貨のトリックは外国の探偵小説からヒントを得たのであるかもしれぬが、点字と六字の名号とを結び付けた手腕は敬服の外はない。この点は地下のポオも恐らく三舎を避くるであろう。由来日本語を表わす暗号には巧妙なものが少く、この暗号は正に従来作られた暗号中の白眉と言ってよかろう。その他筋の運び方、描写の筆致など、どの点にも間然する所がない。ただ暗号の文字を八字ずつ飛ばして読むと「御冗談」となるという点が少し「偶然」ではないかと思われるが、これはあまりに虫のいい註文であろう。
何れにしてもこの作は近来の傑作である。暗号を中心とした推理小説といえば、先ずポオの「黄金虫」、ドイルの「舞踏人形」、ルブランの「うつろの針」、それからカロリン・ウエルスの「彫んだ暗号などを思い起すが、この作はそれ等の作に優るとも劣っていない。又暗号そのものから言ってもたしかに優れていると思う。リーヴはなるべく奇抜な材料を得んと心掛けている作家であるが、彼が「アドヴェンチュアレス」の中に入れている暗号は極めて平凡なものである。