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ごじゅうねんだいのぶんがくとそこにあるもんだい

五〇年代の文学とそこにある問題

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十三巻」新日本出版社、1979(昭和54)年11月20日初版発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,472 字 · 50 页

青空文庫

から「凱旋門」に至ったヨーロッパ――フランス、ドイツの恐ろしい三〇年間の社会と文学のいきさつを追求してみなければならないことを意味する。そして、世界の歴史と文学とはもう「凱旋門」をくぐりぬけてしまっている。そこにどんな人民の苦悩があったかは中共の女捕虜に対する日本兵の暴虐をテーマとしてかいた人こそ、よくその事実を実感しているにちがいない。

批評家は現代文学の全体とその作家たちに切実であるべき「問題を、おこさなかったという問題」をもって一九四九年を通過せざるを得なかった。

三

それならば一九四九年という年は、福田恆存の概括にしたがって「知識階級の敗退」の年であったのだろうか。「かつての自然主義隆隆とまったく同様、ちょうど三年にして衰退しはじめたのであります。平林たい子のことばをもじっていえば、戦後、凱歌を奏しつつひきかえして来た知識階級は、一九四九年にいたってふたたび、そのおなじ道を旗をまいて敗走しつつあるといえます」「一九四九年の諸事件はリトマス試験紙をさしこんだかたちであります」そして、「わかったことは、かれらは赤くも青くもないという一事です。