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ごかねんけいかくとソヴェトのげいじゅつ
五ヵ年計画とソヴェトの芸術
宮本 百合子
「ナップ」1931(昭和6)年1、2、4~8、10月号、「プロレタリア文学」1932(昭和7)年1月創刊号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,485 字 · 116 页
成程、人形芝居をやったり、身振狂言をやったり、漫画の或る場合なんかは、こうなっていれば手っ取りばやい。一応直ぐわかる。だが、二応、三応と、実際の客観的事情に照らし合わせて考えて見た場合、こういう風に様式化したまんまの人物を無制限につかって、どの程度のリアリスティックな芸術の感銘を与えることが出来るかという点は、疑問になって来る。
何故なら、ソヴェト同盟で諷刺的に様式化されたブルジョアジーは、いつでも燕尾服にシルク・ハットで、太い金鎖りをデブ腹の上にたらし、小指にダイアモンドをキラつかして、葉巻をふかしている。
しかし実際に、どんな場合でも、ブルジョアジーはそんなきまりきった風体しかしていないだろうか? どうして! 彼等は自身の利益を守る必要に応じて、技師にもなれば、教師にもなり、ソヴェト同盟では、現に階級の闘士ボルシェヴィキらしい見せかけをした反革命分子さえ発見しているではないか。
ソヴェト同盟の舞台の上、絵の上にきまった形でブルジョアジーが登場する。大衆が笑殺する。それで根っきり葉っきり済んでしまう程、現実の階級闘争は単純でない。事実が単純でない以上、大衆がいつの間にかあの憎むべき変通自在性を過少評価するような固定した形にだけ様式化して扱うのは危険だ。