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ごかねんけいかくとソヴェトのげいじゅつ

五ヵ年計画とソヴェトの芸術

宮本 百合子

「ナップ」1931(昭和6)年1、2、4~8、10月号、「プロレタリア文学」1932(昭和7)年1月創刊号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,485 字 · 116 页

青空文庫

を読んできかせて見な、ドマついちまうよ。一体どんな集団農場だね? バカと荒地だ」

「パンフョーロフは、謎ばっかかけるけれど、その終りが、ありゃしない」

細い、確かりした眼付でブリーノフはつづけた。

「シロコイエ村に、階級闘争が起らなくちゃ成らなかったべえか。俺にゃ分らん。村のあらかたが富農だ。たった一人の貧農シュレンカは懶けもんだ。そこにどんな闘争があるかね」

人物が活々描かれていない点がブリーノフにとっても不満足だ。まるで村を通って、百姓に出会ったはいいが、挨拶して、そのまんまわきを通りぬけちまったような工合だ。言葉が持ってまわっている。ほんとに農民らしい、一言きいて多くのことが分るような上手い言葉なんてものは、一つもこの小説の中にはない。自然の景色が目に見えない。作者は森のことを云ってるが、何処に、どんな森があるのか、ハッキリしない。

「『貧農組合』は集団農場の建設を励まさねえ。がっかりさせちまう」

ザイツェフが合槌を打った。すると、

「いらない本だヨ」

と、ゆっくりした調子で切り出したのは、貧農で、家族がうんとあって、コンムーナへ入ってからやっと凌げるようになったスチェカチョフだ。