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じんみんのためにささげられたしょうがい
人民のために捧げられた生涯
宮本 百合子
「愛情はふる星のごとく」のあとがき、尾崎秀実著、世界評論社、1946(昭和21)年9月発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,301 字 · 3 页
尾崎秀実氏とその国際的な同志たちとは、日本の軍事権力が最後ののたうちで最も悪逆になり狂暴となったその時期の犠牲であったのである。
非道な力は終焉に瀕している、それだからこそ国際的な民主主義者の生命を奪うようなことさえせざるを得なくなって来ていることを、尾崎秀実氏は明瞭に知っていた。家族の方々の今後の生活方針について細々と書かれている中に、金銭の価値の変化によせてそれは予言されている。また、愛嬢楊子さんの勉強方針に関して、さりげなく示されている順序も、尾崎氏が、自身の思想構成の正当さについてゆるぎない信念をもっていられたことを示している。
尾崎氏は、或る時代と条件とのもとで、一個の人間が生き得る最も正直な、誇りたかい生きかたを貫かれた。人間中の人間らしい生活者であった。その美しさがうしおのように寸簡の裡にもみちているのである。
著書が一時は全く世間から押しかくされる時期があることを慮って、尾崎氏は、自著を客観的に評価し、重要な書名を記録して居られる。「なお翻訳が一つあります」と楊子さんにあてて語られているのは、アグネス・スメドレイの「女一人大地を行く」