轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じんせいみっつのたのしみ

人生三つの愉しみ

坂口 安吾

「新潮 第四八巻第四号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,953 字 · 16 页

青空文庫

どこの部屋でも、その家族の一人に頭の怪しい人物がいるという風景に何回もでくわしたものである。実に日本の農村には頭の怪しい人物が多いものだということをシミジミ味わされたのである。精神病院へ行ってみてもそうである。農村だの漁村からの患者が多い。病院だの湯治に行かない患者の数は更に多いであろうと思われるのである。

神経衰弱は現代だけの物ではないのだ。モノノケだの神様だのが根強く信じられていた大昔には、人間の悩みの種は今よりも少いということは決してない。ただそれが神経衰弱だの病気だのとは考えられずに、キツネがついたとか、怨霊がついたとか、人に呪いをかけられたとか、神通力を得たとか、ミコだとか、そういう風に解釈されていただけであろう。にわかに人間が変った、バカ利巧になったとか、その利巧ということが今日の利巧とはちがって、キツネツキの占いの力の如きも昔に於ては利巧のうちであり得たであろう。そういうキチガイは無数にあったのだ。

大昔にあっては、酒というものも、酒に酔っている時の愉しさだけが酒の力であって、その翌日のフツカヨイの副作用の如きは酒のせいとは考えられていなかったに相違ない。