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じんぞうにんげんのひみつ
人造人間の秘密
海野 十三
「小学六年生」1940(昭和15)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,664 字 · 38 页
私たちのいた街の方から、ベン隧道の中に、十本の貨物列車が入っていくのを数えた人があるのに、隧道を出た向こうの踏切番は、いや十本の貨物列車なんて、うそだ。八本だといって、きかないのであった。二本の貨物列車は、どこへ行ってしまったか、姿も影もないのだ。そこで幽霊貨物列車の怪談がうまれ、この鉄道は、いよいよ乗客の数が減っていったのであった。今にして思えば、その二本の貨物列車こそは、ベン隧道の下に、地下工場をつくる材料をうんと積んで、地下へもぐりこんでしまったのであろう。おどろくべきドイツ軍の計画であった。いわゆる第五列の人々が、この地下工事にたずさわり、そして今も、その第五列の人々が、工場内で働いているのではなかろうか。
「私は、イルシ段丘の灯台の灯を目あてに、どんどん歩いて行ったんだがねえ。今からしてベン隧道の中にいるとは、だいぶん方角がちがったものだ」
というと、ニーナは首をふって、
「昨夜、町から見えた灯は、イルシ段丘の灯台の灯ではないのよ。このベン隧道のうえに点いていた灯よ」
「だって、ベン隧道のうえに、灯が点く設備があるなどということを、きいたことがない」