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じんぞうにんげんのひみつ

人造人間の秘密

海野 十三

「小学六年生」1940(昭和15)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,664 字 · 38 页

青空文庫

私は、ほっと、息をついた。ここまで来て、どうやら、戦闘の渦の中から、うまく外れることができたように感じたからである。私は、にわかに、たえ切れないほどの疲労をおぼえて、そのまま段丘の斜面に、うつ伏してしまった。

それから、どれほどの時間が流れたのか、私は、全くおぼえていない。

私は、しきりに、算術の問題をとこうとして、くるしんでいる夢をみていた。

そのとき、私は、誰かに呼ばれているような気がした。

「千吉、千吉!」

ほう、私の名を呼んでいる。

(誰? お母アさん!)

「千吉、千吉!」

私は、はっと正気に戻った。

「千吉、千吉!」

私は、その場に、とび起きようとした。

「し、静かにして……」

その声が、私の耳もとに、ささやいた。そして、私の両肩は、下におしつけられたのであった。

電灯が、点いている。そして私は、ふんわりした藁のうえに寝ている。

「おや。君は、ニーナじゃないか」

私は、目をみはった。私の傍についていたのは、ニーナといって、私たちの住んでいたアパートの娘だった。彼女は、小学校の六年生だった。私は、ふしぎな気持になった。私は、ドイツ軍の侵入の夢をみながら、アバートで睡っていたのではなかろうか。