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じんぞうにんげんじけん
人造人間事件
海野 十三
「オール読物」文藝春秋、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,654 字 · 30 页
ことに帆村たちの注意を引いたものは、下腹部に置かれた電池からの放電により、心臓部附近に小さい赤電球と青電球とがチカチカと代り番に点滅し、そして大小いくつかの歯車が、ギリギリギリと精確に廻転している光景だった。霊魂はないにしても、この機械人間の心臓も肺臓も、まさにチャンと活動しているのであった。
「――こっちが増幅器で、こっちが継電器ですよ」と馬詰はドライバーの先で機械を指した。
「これが身体を直立させるジャイロです。こっちが腕を動かす電磁石装置。こっちのが脚の方です。左右二つに分れていますでしょう。首の方もついでに解剖してみましょう」
馬詰は医学者のようにいとも無造作に、人造人間の鉄仮面を剥ぎとった。
「ほら、これが口の代りになる高声器です。ほほう、この人造人間は目が見えませんよ。光電管がついていますけれど、電線が外れています。これが耳の働きをするマイクロフォン」
「ちょっと待ってくれたまえ」と帆村が手をあげた。
「するとこの人造人間はどうすれば動くかといえば、結局このマイクに何か信号音を送ってやればいいのだネ」
「まあ今のところ、機械の接続はそうなっていますね」