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ロボットさつがいじけん
人造人間殺害事件
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,836 字 · 18 页
四十をいくつか過ぎたと思われる長身の西洋人だった。
「今は何時になるか?」
その声音は、重症の病人とは思われないほど元気に響いた。
「五時三十五分です、閣下」
さっきの中国人が粛然として答えた。
「時間を間違えるな。すべていつもの通りにやってくれるんだぞ」
「畏りました」
閣下と呼ばれたその重症者の声音は、たしかに聞き覚えのあるものであった。が、それが誰だか、直ぐには考え出せそうもない。自動車は夫人と、その閣下と呼ばれる男と、家令のような中国人とをのせて、静かに動き出した。僕は三十一番街の方に駈け出した。同志に会って俄かに計画の大変更を決行しようというのである。それで元来た道の方へと引きかえした。一丁ほど走ると、カーンと靴先に音があって何か金属製の扁ったいものを蹴とばした。探してみると、それは銀製のシガレット・ケースにすぎなかった。そのようなものを検べて居る余裕はないから、捨ててしまおうとは思ったが、事件のあった附近で発見したものだから、何か手懸りになるようなものが見当るかもしれないと思ったので、ポケットからシガレット・ライターを出して、その光の下に改めてみた。