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ロボットさつがいじけん

人造人間殺害事件

海野 十三

「新青年」博文館、1931(昭和6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,836 字 · 18 页

青空文庫

真直走ると殺されちまうぞ」僕は圧しつけるように命令した。車はもう三十番街に来ていたので、四つ角を急角度に旋回した。その途端に、僕たちの車の後に迫っていた高速度のイスパノ・シーサなどの車が数台、三十一番街に滑りこんだ。俄然一大爆音が彼等の飛びこんだ方面に起った。僕たちの車の硝子が、護謨毬をたたきつけたかのようにジジーンと音を立てた。

何事か起ったらしい。この儘、通りすぎたものか、引きかえしたものか。先刻、窓からのぞきこんだ人造人間らしきものは、同志林田が活動を開始したのを語っている。三十一番街の爆発事件も、彼の手で決行されたものに違いない。だがその地点に、そんなに必要な事件を指令した覚えはないので、鳥渡、事件を解釈するのに見当がつかなかった。これは引返して、様子を見たいものだ、と思ったが、劉夫人は、僕の胸にピッタリ顔をおしつけて離れない。彼女は、なんでも自分の家に連れて行くことばかりを考えているのに違いない。僕は、象牙のように真白な夫人の頸筋に、可憐な生毛の震えているのを、何とはなしに見守りながら、この厄介者から、どうして巧くのがれたものかと思案した。