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にんげんがかちくしょく

人間が家畜食

北大路 魯山人

「独歩 2号」1952(昭和27)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,405 字 · 3 页

青空文庫

わたしはこれを見て食物道についてはまったく無知な人間のいかに多いかに驚くのである。自己の真から好む食べ物というものに自覚がないのである。山鳥のように野獣のように自己の好むものばかりを次から次へとあさって、充分なる栄養を摂る人間自由を知らないのである。いつの時代からの慣習かは知らないが、この点、家畜となんら異なるところがないようである。わたしの考えからすると、おあてがいの食べ物では、そのひとびとに当てはまる栄養は摂れるものではないと判断している。わたしはだいたいにおいて日常食生活四、五十年、自己が真から底から好む食べ物をもって健康を作る栄養としている。食品の低廉とか、高価とかあるいは名目とかには決して囚われないようにしている。

これでこそ自己に完全なる、栄養は摂れ健在が保たれるのだと確信している。それが第一の証拠として白頭翁といわれる今日までわたしは病気を知らない。およそ病気と称するものはなに一つない。旨いものを食って、寝たいだけ寝る。野獣、野鳥の自然生活にすこぶる似ているのがわたしである。早寝、遅起き、八時間以上十時間を寝る。眼が覚めたとなれば、常人の幾倍かの仕事をする。