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にんげんしっかく

人間失格

太宰 治

一个连笑脸都让人毛骨悚然的男人,从童年起就活得像场表演。翻开这本自白,你会看到最深处的孤独和挣扎。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,014 字 · 141 页

青空文庫

た。

「お酒をおよしにならなければ」

自分たちは、肉身のようでした。

「アル中になっているかも知れないんです。いまでも飲みたい」

「いけません。私の主人も、テーベのくせに、菌を酒で殺すんだなんて言って、酒びたりになって、自分から寿命をちぢめました」

「不安でいけないんです。こわくて、とても、だめなんです」

「お薬を差し上げます。お酒だけは、およしなさい」

奥さん(未亡人で、男の子がひとり、それは千葉だかどこだかの医大にはいって、間もなく父と同じ病いにかかり、休学入院中で、家には中風の舅が寝ていて、奥さん自身は五歳の折、小児痲痺で片方の脚が全然だめなのでした)は、松葉杖をコトコトと突きながら、自分のためにあっちの棚、こっちの引出し、いろいろと薬品を取そろえてくれるのでした。

これは、造血剤。

これは、ヴィタミンの注射液。注射器は、これ。

これは、カルシウムの錠剤。胃腸をこわさないように、ジアスターゼ。

これは、何。これは、何、と五、六種の薬品の説明を愛情こめてしてくれたのですが、しかし、この不幸な奥さんの愛情もまた、自分にとって深すぎました。最後に奥さんが、これは、どうしても、なんとしてもお酒を飲みたくて、たまらなくなった時のお薬、と言って素早く紙に包んだ小箱。