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「にんげんせんげん」のうちそと
「人間宣言」のうちそと
前田 多門
「文藝春秋」文藝春秋新社、1962(昭和37)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,304 字 · 14 页
のご覧に入れなければならない段取りになったが、困ったことには、幣原さんが急性肺炎になって床につかれたため、ご自身が宮中に行くわけにいかなくなった。
やむを得ず、私が代りに陛下のところに伺って、案文をご覧に入れたのであったが、その時私が深く感じたのは、陛下は極めて平然たる御態度でこれをお受け取りになり、むしろこれを待ちもうけておられたというような積極的なご様子で、早速案文をご点検になり、ある部分は低い御声で発声して朗読されたように私はいま記憶しておる。
その時、天皇が神でないということについて陛下はこういうお話をしてくださった。
「後水尾上皇がまだ天皇の位におられたときに水疱瘡を患われた。ところが水疱瘡を治すには、おきゅうがいいということであったのだが、現人神たる玉体におきゅうをすえるということは許されないという異議が出たために、ついに譲位をなさって、おきゅうの治療を受けられた。まことに不自由な話である」
それにつけて想い出されるのは、これより先き、たしか十二月の初め頃であったと思う。臨時国会の予算委員会で、ある議員から私に質問があった。文部大臣に尋ねるが、いったい天皇は神であるか、神でないか、それを返事しろと激しい口調の質問であった。