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にんげんせい・せいじ・ぶんがく(いち)

人間性・政治・文学(1)

宮本 百合子

いかに生きるかの問題

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,581 字 · 20 页

青空文庫

に疑いをさしはさんでよいのだと思う。

「歯車の空転」のなかで、伊藤整は「この時代に生きる作家の運命というものを」「作家はその不調和を外界と人間の衝動の中にあとづけることによって、美という仮りの調和体を作ることしか出来ない」ものとして受取っている。ジェームス・ジョイスやD・H・ローレンスから多くのものを摂取して来た一人の日本の文学者として、以上の言葉は、その人の真実を告げている。しかし、これらの表現は「この時代に生きる作家の運命」のすべての面にふれているだろうか。

文学のために――人類の理性の発展のために、国家権力の圧迫とたたかわなければならなくなった文学者伊藤整のこんにちの現実。そして、その伊藤整の現実を、おのれの生活と文学にもつながる問題としてひろい線の上にうけとることのできるようになった日本の文学者たちの社会に対する生存感。よしや、それらの文学者のうちに、盲目と無力の要素が少なからず存在しているにしろ、やはりそこには、一九三三年には見られなかった日本の一九五〇年代のリアリティーがある。

権力は常に保守の要素をもつ。文学の本質は、人間性のうちにある抑えがたい展開と発見への欲求に立っている。