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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

だがその中の一つだけは、ずっとわしが持っていた。……それにしても淀屋の独楽を巡って、幾十人の者が長の年月、悲劇や喜劇を起こしたことか。……でも、いよいよ淀屋の独楽が、一所に集まる時期が来た。……お八重、わしに従いておいで。淀屋の財宝の莫大な額を、親しくお前の眼に見せてあげよう」

地上の独楽を懐中に納め、龕燈を取り上げて飛加藤の亜流は、やおら草から立ち上った。

お八重もつづいて立ち上ったが、

「でも叔父様、船もないのに、沼を渡って、どうして小島へ……」

因果応報

「ナーニ、わしは飛加藤の亜流だよ。どんなことでも出来る人間だよ。そうしてわしに従いてさえ来れば、お前もどんなことでも出来るのだよ。……沼を渡って行くことなども……」

二人は沼の方へ歩いて行った。

藪の陰に佇んで、見聞きしていた頼母は太い息を吐き、

「さてはそういう事情だったのか」と声に出して呟いた。

(淀屋の独楽の隠語は解けた。淀屋の財宝の在場所も知れた)

このことは頼母には有り難かったが、飛加藤の亜流とお八重とが揃って、財宝の所在地へ行くということが、どうにも不安でならなかった。

(財宝を二人に持ち出されては、これまでの苦心も水の泡だ)