轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

と悲鳴を上げ、頼母は岸へ帰ろうとした。

しかし深い泥が彼の足を捉え、彼を底の方へ引き込んだ。

突然彼の姿が見えなくなり、彼の姿の消えた辺りへ、泡と渦巻とが現われた。

と、ふいにその水面へ、一つの独楽が浮かび上った。頼母の持っていた独楽であって、水底に沈んだ彼の懐中から、水の面へ現われたのであった。独楽にも長虫はからみ付いていた。そうしてその虫は島を指して泳いだ。飛加藤の亜流とお八重との姿が、その島の岸に立っていた。そっちへ独楽は引かれて行く。

閉扉の館の二階では、なお血闘が行なわれていた。頼母の家来の数名の者が、死骸となって転がっていた。

髪を乱し襟を拡げ、返り血を浴びた主税がその間に立ち、血にぬれた刀を中段に構え、開いている雨戸から射し込んでいる月光に、姿を仄かに見せていた。

その背後に息を呑み、あやめとお葉とが立っていた。二人の女の持っている刀も、ヌラヌラと血にぬれていた。そうして二人の女の裾には、ほとんど正気を失ったところの、松女が倒れて蠢いていた。

階段の下からは罵る声や怒声が、怯かすように聞こえてくる。

しかし登っては来なかった。

これ迄に登って行った者一人として、帰って来る者がないからであった。