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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
思いあたることがあると見えて、主税はグッと眼を据えて、空の一所へ視線をやった。
と、その視線の遥かかなたの、木立の間から一点の火光が、薄赤い色に輝いて見えた。
その火はユラユラと揺れたようであったが、やがて宙にとどまって、もう揺れようとはしなかった。
(こんな夜更けに御用地などで、火を点もすものがあろうとは?)
重ね重ね起こる変わった事件に、今では主税は当惑したが、しかし好奇心は失われないばかりか、かえって一層増して来た。
(何者であるか見届けてやろう)
新規に得た独楽を袖の中へ入れ、足を早めて火光の見える方へ、木立をくぐり藪を巡って進んだ。
火光から数間のこなたまで来た時、その火光が龕燈の光であり、その龕燈は藪を背にした、栗の木の枝にかけられてある。――ということが見てとられた。
だがその他には何があったか?
その火の光に朦朧と照らされ、袖無を着、伊賀袴を穿いた、白髪白髯の老人と、筒袖を着、伊賀袴を穿いた、十五六歳の美少年とが、草の上に坐っていた。
いやその他にも居るものがあった。
例の猿廻しと例の猿とが同じく草の上に坐っていた。
(汝!)と主税は心から怒った。