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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

「数日前に庭師を入れまして、樹木の植込み手入れ刈込み、庭石の置き換えなどいたさせました」

「そうらしいの、様子が変わっている」

改めて中納言家は四辺を見廻された。

桜の老樹や若木に雑って、棕櫚だの梅だの松だの楓だの、竹だの青桐だのが、趣深く、布置整然と植込まれてい、その間に珍奇な庭石が、春の陽に面を照らしながら、暖かそうに据えられてあった。

ずっとあなたに椿の林があって、その中に亭が立っていた。

間もなく幾人かの侍臣と共に、奥医師玄達が小走って来た。大奥の腰元や老女たちも、その後から狼狽て走って来た。

玄達はすぐに死骸の側へかがみ仔細に死骸を調べ出した。

「駄目か?」と中納言家は小声で訊かれた。

「全く絶望にござります」

玄達も小声で答えた。

「死因は何か?」

「さあその儀――いまだ不明にござりまする。……腹中の食物など調べましたなら……」

「では、外傷らしいものはないのだな」

「はい、いささかも……外傷らしいものは」

「ともかくも死骸を奥へ運んで、外科医宗沢とも相談し、是非死因を確かめるよう」

「かしこまりましてござります」

やがて楓の死骸は侍臣たちによって、館の方へ運ばれた。