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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

(がしかしこうなってみれば、その屋敷の何物かを調べてみよう)

主税はそんなように考えた。

独楽のことも勿論気にかかっていた。

――どれほどあの独楽を廻してみたところで、これまでに現われた隠語以外に、新しい隠語が現われそうにもない。そうしてこれまでの隠語だけでは、何の秘密をも知ることは出来ない。どうやらこれは隠語を隠した独楽は、あれ以外にも幾個かあるらしく、それらの独楽を悉皆集めて全部の隠語を知った時、はじめて秘密が解けるものらしい。

(とすると大変な仕事だわい)

そう思わざるを得なかった。

しかし何より主税の心を、憂鬱に抑えているものは、頻々とあるお館の盗難と、猿廻しに変装したあやめとが、密接の関係にあることで、今日あやめを小屋へ訪ねたのも、その真相を探ろうためなのであった。

(猿廻しから得た独楽と隠語と、お館の中に内通者ありという、自分の意見とを松浦殿へ、今朝方早く差し上げたが、その結果女の内通者が、お館の中で見付かったかしら?)

考えながら主税は歩いて行った。

腐ちた大木が倒れていたり、水溜りに月光が映っていたり、藪の陰から狐らしい獣が、突然走り出て道を遮ったりした。