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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

……取られる理由もあるんですから、まあまあそいつア仕方ねえとしても、どうやらあっしというこの人間、あんなちょろっかの締め方じゃア、殺されそうもねえ罪業者と見え、次の瞬間にゃア生き返って、もうこの通りピンピンしていまさあ。……そこでこの屋敷へ飛んで来て、淀屋の独楽を取らねえ先に、あやめの阿魔に逃げられたってこと、松浦様にご報告すると……」

「それでは汝も松浦頼母の……」

重ね重ねの意外の事件に、主税は心を顛倒させながら、嗄れた声で思わず叫んだ。

恋人が盗賊とは

「あたぼうよ、ご家来でさあ……もっとも最初は松浦様のご舎弟、主馬之進様のご家来として、馬込の里の荏原屋敷で……」

「喋舌るな!」と叱るように一喝したのは、刀を杖のように突きながら、ノッソリと立ち上った頼母であった。

「お喋舌り坊主めが、何だベラベラと」

それから主税の側へ行った。

「主税」と頼母は横柄の態度で、主税を上から見下ろしたが、

「其方の恋女腰元八重、縛められてこの屋敷に居ること、さぞ其方には不思議であろうな。……その理由明かしてとらせる! お館にての頻々たる盗難、……その盗人こそ八重であったからじゃ!」