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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
「深い事情はござりまするが、お館の数々の器類を、盗み出しましたはこの妾、この八重めにござります!」
その次の瞬間には彼女の体は、前のめりに倒れていた。そこから烈しい泣き声が起こった。畳へ食いついて泣き出したのである。
主税の全身に顫えが起こった。そうして彼の体も前のめりに倒れた。背の肉が波のように蜒っている。恋人八重が盗人とは! これが彼を男泣きに泣かせたのらしい。
そういう二人を左見右見しながら、頼母は酸味ある微笑をしたが、やがて提げていた刀の鐺で主税の肩をコツコツと突き、
「八重が盗人であるということ、これで其方にも解ったであろうな。……八重めはお館の命により、明朝打ち首に致すはずじゃ。……が、主税、よく聞くがよい、其方の持っておる淀屋の独楽を、わしの手へ渡すということであれば、八重の命はわしが助けてやる。そうして此処から逃がしてやる。勿論、その後は二人して夫婦になろうとそれは自由じゃ」
ここで頼母は言葉を切り、また二人をじろり見て、
「それともあくまで強情を張って、淀屋の独楽を渡さぬとなら、この場において其方を殺し、明朝八重を打ち首にする。……主税、強情は張らぬがよいぞ。