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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

「お葉や! おおおおその姿は! ……猿廻しのその姿は! ……別れてから経った日数は十年! ……その間中わたしは雨につけ風につけ、一日としてお前のことを、思い出さなかったことはなかったのに! ……高麗郡の高麗家と並び称され、関東での旧家と尊ばれている、荏原郡の荏原屋敷の娘が、猿廻しにおちぶれたとは! ……話しておくれ、その後のことを! 話しておくれ、お前の身の上を!」

妹お葉の背へ両手を廻し、それで抱きしめ抱きしめながら、喘ぐようにあやめは云うのであった。

「お姉様、あやめお姉様!」と、姉の胸の上へ顔を埋め、しゃくりあげながらお葉は云った。

「十年前に……お姉様が……不意に家出をなされてからというもの……わたしは、毎日、まアどんなに、お帰りなさる日をお待ちしたことか! ……いつまでお待ちしてもお帰りにならない。……そのうちだんだんわたしにしましても、お家にいることが苦痛になり……それでとうとう同じ年の、十二月の雪の日に、お姉様と同じように家出をし……」

「おお、まアそれではお前も家出を……」

「それからの憂艱難と申しましたら……世間知らずの身の上が祟って……誘拐されたり売られたり……そのあげくがこんな身分に……」