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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
「高麗郡の高麗家と同じように、荏原郡の荏原屋敷が、天智天皇様のご治世に、高麗の国から移住して来た人々の、その首領を先祖にして、今日まで連綿と続いて来た、そういう屋敷だということは、お姉様もご存知でございますわねえ」とやがてお葉はしんみりと、囁くような声で語り出した。
「その移住して来た人々が、高麗の国から持って来た宝を、荏原屋敷で保管して、代々伝えたということも、お姉様にはご存知ですわねえ。……でも、その宝物は長い年月の間に、持ち出されて使い果たされ、尋常の人間の智慧ぐらいでは、絶対に発見することの出来ない、宝物の隠匿場所ばかりが、今も荏原屋敷のどこかにあるという、そういうこともお姉様には、伝説として聞いて知っていますわねえ。……ところが……」と云って来てあやめの両手を、お葉はひしと握りしめ、一層声を落として云った。
「ところが今から百五十年前、元禄年間に大財産が、その隠匿所へこっそりと、仕舞い込まれたということですの」
「まあ」とあやめも唾を呑み、握られている手を握り返したが、
「どういう財産? どういう素性の?」
「浪速の豪商淀屋辰五郎が、闕所になる前に家財の大半を、こっそり隠したということですが、その財産だということですの」