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こんにちのさっかとどくしゃ
今日の作家と読者
宮本 百合子
「帝国大学新聞」1941(昭和16)年2月24日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,056 字 · 8 页
みんなの分らないことは、作家・評論家にしても大してより多く分っているのではない実際であるとして、そのような状況から生れて来る作品が、それではその幾多の現実の分らなさを、分らなさとして表現しているだろうか。分らないことは分らないと端的に表現し追求することで、人生に積極な何かをもたらす芸術の健全なみのりがあるだろうか。
人間生活と歴史とは抽象に在るものではないから、作家が作品を生んでゆく心情にしろ、現実ときりはなしては在り得ない。しんからの感興と情熱とを動かされる瞬間のうちには、何かの意味で今日の歴史の命がこもっているわけだが、例えば最近或る文学賞の候補に一つの小説がのぼって、多数の投票があったが、それは生々しいテーマで当選してもその雑誌に発表されないからというのが主な理由でその小説は賞をうけなかったという噂をきいた。他の当りさわりのない作品がそれに代えられた。
こういう今日というものの在りようの中で、作者と読者とが互に困難極まる一つ軸の廻転の上に置かれていることを理解しないものはないだろうと思う。作者は、表現したく欲するものを何とか表現しようとしてあのように、このように、そして不完全に表現し、読者は何かでそれを捉えようとあれを読みこれを読み、その広い相互関係の端れでは作者その人も、何事かを知りたくて知り得