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こんにちのじょりゅうさっかとじだいとのこうしょうをろんず
今日の女流作家と時代との交渉を論ず
宮本 百合子
「読売新聞」1922(大正11)年5月31日~6月2日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,098 字 · 8 页
次に女は毎日の実生活の上に於いて、家事上の事柄に力を浪費することも大きなものです。たとい女中を使ってするにしても、その中心になる仕事に対しては、主婦がこれを指揮しなくてはならず、従って家のことを忘れて白熱的の力で文芸に専念する場合、それは大きな邪魔となるものです。
更に女の身だしなみということも、創作をする場合、かなり関係があります。女は昔から見られるものとして取扱われてきました。一度外出するにも髪形から衣裳まで整えねばならず、風が吹けば、髪が乱れる。伝統的というのか本質的というのか、とにかく女性にはこの外廻りの小さな注意が沢山いります。それらに対して出来るだけ心配しなくてはなりません。この水の表面のような反射的な注意を持っていることは、心の中の深い落付きを乱だすものです。それを平静に保とうとするには、やはり男の知らぬ努力がいるのです。男はこういうことに対して、それだけのことを意識として経験しなくともよいでしょうが、女性はそういうことが或る程度まで反省的に取扱われなければなりません。その上で初めて落付いて仕事に向う気持にもなるのです。
また時代というものに対しても、それから時代精神ということに就いても、本当にその時代に生存するには、前後及び終極の場所を見極めなくてはなりません。