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こんにちのぶんがくのちょうかんず
今日の文学の鳥瞰図
宮本 百合子
「唯物論研究」1937(昭和12)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,298 字 · 24 页
の関係を方向づけている上述のような理解は出来上った作品をよむ読者の胸に或る逸脱の危険を感ぜしめているのである。
さて一方社会主義的リアリズムも当時の日本の事情によって必ずしも順調に理解されたとは言えなかった。社会主義的リアリズムは、日本に紹介されたと同時に、その基本的な点で極めて特徴的な転調をされた。ある一部の紹介者は社会主義的リアリズムをもって、芸術に於ける世界観の抹殺と小市民性、インテリゲンツィア性のあるがままの形での認容であると誤って理解した。これは全く正反対のものである。この誤解は、その半面に、さっきもそれについて触れた些末的写実主義の潮流とより添って流れたために、当時作家達が所謂自由になってのびのびと書き始めた諸作品は、要するに低調な日常茶飯的身辺小説、主観的な私小説の域を遠く出ることが出来なかったのであった。
続いて作家と教養の問題が起った。これは、華やかなるべき文芸復興の芸術的内容の貧寒さからその打開策として言われて来たのであった。同じ頃古典の摂取ということが文壇でやかましく言われ、バルザック、スタンダール、ドストイェフスキー等が読み直され始めた。