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こんにちのぶんがくのちょうかんず

今日の文学の鳥瞰図

宮本 百合子

「唯物論研究」1937(昭和12)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,298 字 · 24 页

青空文庫

を作らんとすることは、これまで述べて来た日本の文学の特質から見て、どういうことになるであろうか。権力というものに対する事大主義的な追随や、機械的な政治の文学に対する優位の承認を結果するであろうという危険は、誰の目にも明かである。プロレタリア文学が、方針に於て或る時期機械的な政治の優位を認めたと云って、文学を死滅さすものだと非難した人を顧ればその筆頭は林房雄氏であった。同じ人が僅か四五年の後に進んで現行勢力の下位に文学を置こうとすることは理解に困難である。

室生犀星氏が近衛公や一部の顕官に逢い、一夕文学談を交したことで、軍人、官吏も文学を理解しようとする誠意を持っていると感激し、庶民出生の長い艱難多かった自身の閲歴をも忘却して、忻然として「行動の文学」を提唱し、勇躍して満州へ行く悲喜劇的な姿も、結局はこれまでそれ程に作家の生活には世間人並のつきあいがなかったと言うことであり、それ程政治家等の文学に就いての関心が欠けていたことを語るに過ぎない。日本に於ける作家の社会的立場の特異性、貧弱さは、このことにも充分に現われているのである。

岸田国士氏等によっても、文学及び作家の真の発展のために文壇が今は妨げとなっていることが言われている。