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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

最近新日本文学会から民主的詩人の作品集が出版されようとしている。

評論 厳密にいうと日本では、一九三三年以来文学に関する理論、評論活動は中断されていたといえる。侵略戦争が拡大するにつれて日本の天皇制のファシズムは、思想と言論の自由を奪い、やがては人民の理性そのものさえも否定した。社会の現実を正視することを許さない権力のもとでは、その社会がするどい階級対立を含みつつ戦争にかりたてられている現実から生れ出る文芸作品の存在が許されなかった。従って文学作品を社会とのなまなましい関係でみる民主的な文学理論が展開されず、民主的評論が存在させられなかったのは当然である。一九三三年以来ジャーナリズムの上に活動する余地をのこされていた日本の文学評論は、最低のヒューマニティーを守ろうとする努力をつづけながらも実際においては、世界の歴史に対して目をつぶり、現実から遊離し、権力への抗議をさけて、いわゆる純芸術的評論におちいった。現代の世界文学において、評論の基準とされている客観的評価はかげをひそめ、一九二〇年代以前の主観的随筆的評論が横行した。

一九四六年は、このようにして殺されていた日本の文学評論のよみがえりの時期であった。