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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

中国文学に対して、日本の読者は健全な理解を欠いていた。一部の真面目な中国文学研究者によって現代中国文学は、だんだん日本の読者にも理解されるようになってきた。最近中国文学に対してこれまでにない文学の純粋な興味と愛好とが示されてきた。ここにも翻訳権の壁がある。

翻訳権の問題は、民主主義文化の本質を決定する国際間の問題である。キュリー夫妻がラジウムの特許を公開して自身に独占しなかったことは、人類の科学の歴史に一つの大きな輝きである。文化は人類の富ではないであろうか。商品以外の価値をもつものならば、それにふさわしい人類的処理が期待されてよいと信じる。

文芸家協会や日本ペンクラブの活動は、今の日本の文学全体を推進させるために必しも有効に働いていない。戦争中、文学報国会として戦争協力した文芸家協会は、再出発後も理事会を目下エロティックな文学で活躍している数名の通俗作家によって独占されている。先般、森戸辰男の文部大臣賞の選を文芸家協会がひきうけるかどうかということについても、理事会は広汎な輿論に計らず、良心的な作家が辞任した。日本ペンクラブは国際的文化組織の中でふれているとおり、クラブ資金調達のための現代日本文学作品集から、中野重治、徳永直、宮本百合子の作品をオミットした。