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〔ふ〕ゆいぶつろんけんきゅうについて(とさかじゅんしゅき)
〔付〕唯物論研究に就て(戸坂潤手記)
戸坂 潤
「思想月報 第九号」司法省刑事局、1935(昭和10)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,123 字 · 18 页
。インテリ層に於ける「宗教復興」、より知識水準の低い階層に於ける淫祠邪教の流行等はそのわが国に於ける最近のその実例である。政府当局は又その上に立って一種の思想統制を行おうとさえしているかに窮知せられる。しかし若し人間の有つべき基礎的な世界観が、何等の公正な研究をまたずに無批判に取り入れられ、又更にそれを基礎として強力的に単一化され了るならば、人類の理性と情性とを進歩せしめる動力は事実上全く失われることは火を睹るよりも瞭らかである。吾々はこの二つの思想・世界観の対比に於て初めて双方の思潮の価値を科学的に知り得るものであり、そしてかかる比較研究の立場の正しさは古来の思想史の検討によって確認せられていると信ずる。之が本会の建前なのである。重ね重ね注意すべきは、吾々の仲間の凡てが唯物論者なのではないという事実である。寧ろ可なりの大部分の者は自由なる立場に立つことを建前として、この二つの世界観を対比・比較し、その間の複雑な交互作用に於ける夫々の意義を歴史的に科学的に商量する為に、身を以て、いま世に容れられざる「唯物論の研究」に従っているというのが事実である。