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なかなかしなぬあいつ
仲々死なぬ彼奴
海野 十三
「探偵」駿南社、1931(昭和6)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,216 字 · 18 页
というのは、その片足のない重傷者は、その日、葬儀をした筈の大熊老人その人に違いなかったから……
後で判明したことは、大熊老人は毒殺されたが、平常の抗毒方法がうまく効いて、棺の中に居るうち段々恢復してきた。ところへ、あの大爆発が起って、身体の大部分は石段の蔭になっていたので微傷もうけず、唯足だけは爆発瓦斯のため吹きとばされ、その一本を失った。足が一本千断れた疼痛が、ハッキリ老人を蘇生へ導いてくれたのであった。老人の死を計画した親戚一同は、花久が、混雑に紛れて式場へ担ぎこんだ喜助の仕掛けた爆発性大榊のために、一致協力して冥途へ旅立ち、皮肉にも大熊老人一人が生きのこった。
喜助はどうなったか。久作が椿事に遭って生命からがら帰って来たのを感ちがいした喜助は、初一念を貫いて、あれから直ぐ後で、鉄路の露となって消えてしまった。
(「探偵」一九三一年七月)