轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
イタリアのことう
伊太利亜の古陶
宮本 百合子
「中央公論」1924(大正13)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,477 字 · 31 页
「一向そんな噂は伺いませんでしたね」
日下部は、面倒そうに云った。
「細かな事まで一々覚えていられるものか? いずれ相談会へ持ち出すだろう。――が、相談会そのものが今時、抑々愚の骨頂さ」
車は、両側に明るく店舗が軒を並べた四谷の大通りに出た。呉服屋の飾窓の派手な色彩などが、ちらりちらりと視野を掠める。みや子は何か託つような調子で呟いた。
「もう私共も二つ位別荘があってもよい時ですね」
「ふむ。厄介だよ。息子共の巣窟にばかりされても堪るまい」
日下部は手帳をモーニングの衣嚢にしまった。彼の望みはこの時ただ一つしかなかった。これは、一刻も早く家に着きたいという願であった。彼はせめて今夜のうちに、あのマジョリカの時代だけもはっきり調べて置きたく思った。
然し、彼の心持を知らないみや子は、何故かひどく彼女の別荘話に執着した。彼女は数年前買い損った裾野の土地のことまで良人に思い出させた後、意味ありげな嬉しそうな眼付で云った。
「ね、あなた、今日のお話ぶりだと、沼津の土地というのを分けて戴けますよ」
「勿論貰えるさ」
日下部は単純に解釈した。
「分けて貰えることは貰えるがあんな処仕様があるまい。