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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

岡本綺堂『伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:平家蟹、青蛙神、人狼、五色蟹、木曽の怪物、蟹満寺縁起、怪談劇、小坂部姫、小坂部伝説、江戸の化物。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 页

青空文庫

その時に秀吉は中国の入口に然るべき根拠地を見いだそうとして、播州で名高い古城の址を調べさせた。その選に入ったのが白旗山と姫山とで、どちらも古い歴史をもっているだけに、秀吉も一旦はその選択に迷ったが、交通の便利から考えて遂に姫山を選むことに決めた。

「就いては白旗の城址はいっさい取り毀せ。なまじいに何かの跡方が残っていると、謀叛人の足溜りともなり、山賊どもの棲家ともなる。いずれにしても良からぬことじゃ。」

その指図にしたがって、浅野弥兵衛は大勢の家来や人夫を引き連れて、白旗山の城址を取り毀しにかかった。藤次郎兄弟の伝説があるだけに、土地の者は何かの怪異をひそかに予期していたが、そんな噂は一向にきこえないで、朽ちかかっていた百畳敷も、幾日かの後にまったく取りくずされてしまった。

それと同時に、姫山の古城は新しく改築された。旧記によると、城の東西がおのおの十町、南側十一町、北側七町、その中が内廓で、本丸と二の丸がある。本丸は後に太閤丸と呼び換えられた。こうして、この古城は一切その粧いを新たにしたが、天主閣だけは昔のままに取り残されていた。それに就いては次のような奇怪な伝説が残っていた。