轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なにもの
何者
江戸川 乱歩
「時事新報 夕刊」時事新報社、1929(昭和4)年11月28日~12月29日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,449 字 · 77 页
又その跡のついた時間も、土の乾き具合なんかで見ると、丁度靴足袋の男の歩いたのと同時刻らしいのだ。
私がその考を話すと、赤井さんは何だか皮肉な調子で、
「あなたは却々名探偵ですね」
と云ったまま、ムッツリと黙り込んでしまった。妙な男だ。
私は念の為に、犬の足跡を追って荒地の向うの道路まで行って見たが、道路が石ころ道だものだから、それから先は全く不明であった。「犬」はその道路を右へか左へか曲って行ったものに相違ない。
併し、私は探偵ではないので、足跡が消えると、それから先どうすればよいのか、見当がつかず、折角の思いつきも、そこまでで打切ってしまったが、あとになって、成程本当の探偵というものは、そうしたものかと思い当る所があった。
それから一時間もして、約束通り波多野警部が再調べにやって来たが、ここに附加える程の、別段の発見もなかった様子だ。
朝食後、この騒ぎに逗留でもあるまいというので、甲田君と私は一先ず結城邸にいとまを告げることにした。私は内心事件の成行きに未練があったけれど、一人居残る訳にも行かぬ。いずれ東京から又出掛けて来ればよいことだ。
帰り途に、弘一君の病院を見舞ったことはいうまでもない。