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さっかにかたりかけることば

作家に語りかける言葉

宮本 百合子

『現代文学論』にふれて

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,928 字 · 16 页

青空文庫

ては、文学を健全におしすすめる力として弱いことがわからせられていると思う。現実の凝視ということも、具体的な創作過程にあっては、つまるところ、『現代文学論』の著者の示している如き、作者と作品と、作品がそこからつくり出されて来る現実との三角関係で、作者と作品との関係に対する作者の支配が、不可欠の条件だろう。近頃の活動的と目されている作家たちが、昔の作家のように「書けない」という苦しみをどこかへおいて来てしまっていることから、いつしか生じて来た「作品と作家がすっかり離縁して、てんでに何処へ漂流するかも知れない」(作家の凝視)という「手芸的に制作され」(同上)た小説が、まともな文学へ押し出される道も、文学の道として云えば、以上の点に、深刻な連関をもっていると思うのである。

小説が「作家の誠実な生命と結びついたもので」(同上)あるために、私たちにとっては作家の意企、作品の主題、及び創作のモチーフというものの関係も切実なものとして迫って来る。『現代文学論』第五篇の「現代文学の非恒常性」のなかで、著者はこの問題において、志賀直哉氏の言葉と横光利一氏の言葉を何と適切に対比して、批評していることだろう。