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さっかにかたりかけることば

作家に語りかける言葉

宮本 百合子

『現代文学論』にふれて

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,928 字 · 16 页

青空文庫

上ずっているような今日の世相のなかで、決して瞠目的な形ではあり得まいが、しかし、文学の問題としては本質的な成長の数歩であることを、深く感じるのである。

この著者が、どこまでもどこまでも文学は生きている人間を描くものとして、つかんでいるその勘どころを飽くまで手離さずに、理論上の歩み出しもしているところが、しんから気持よく思われる。原理的な芸術性の問題にしろ、結論の流れいずる源をさぐれば、そこには現実に生きた人間の芸術における関係があらわれる。「文学の虚構の真実」にしろ、「芸術至上主義の現代的悲劇」にしろ、「現代の創作方法論」にしろ、いずれもそれが云える。

文学において、創作の方法というものは、何とまざまざとその作家の社会的で芸術的な生きかた全幅を示すものであろうかということも、興味ふかく考えさせられる。例えば今日云われている農民文学というものの在りようについて、又、読者としてあらわれている大衆と作家との互のかかわり合いかたの真実の姿について、著者は、創作の方法という、全く文学独特の因子からつきつめて行っている。

作家としての心が、このような語りかけに対して迚も知らんふりはしていられないように触れられるというのも、この著者がどこまでも文学の独自なものから云っているためであると思われる。