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さっかのみたかがくしゃのぶんがくてきかつどう
作家のみた科学者の文学的活動
宮本 百合子
「科学ペン」1937(昭和12)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,638 字 · 17 页
くどく説明を要しないナチとは違う本質が語られているのではあるまいか。
石原氏は『改造』九月号の「科学者と発明家」という文章の中でも、くりかえし上にのべた観点を主張しておられる。そして、今日の機構がしからしめている「特許」というものの性質が反科学的であることにふれ、「幸にして、純粋の科学の世界には、このような資本主義の弊害はさほど及ぼして来ていない」云々と、科学者が発明家に比べて資本主義的害悪から超然としていられることを語っておられる。けれども、社会悪は金銭的形態利害擁護の姿でだけ素朴にあらわれるものではないのである。忌憚なく云えば、石原氏がナチとソ連の科学政策をその現実の本質につき入って比較する力を欠いておられる事実なども、社会悪が最も複雑微妙な作用としてあらわれて来ているところの科学精神における一つの決定的マイナスなのである。
科学精神における、こういうような、多種多様で且つ隠微な形のマイナスの侵入は実に危険であると思う。何故なら、科学性の客観的敗北は常にこの盲点を契機として行われ、しかもそれが敗北であることがどうしても自覚され得ないという危険をもっているからなのである。