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さっかのけいけん
作家の経験
宮本 百合子
「展望」1947(昭和22)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,801 字 · 25 页
したがって、文学も文学の自主的な足場とともに、民主国としての日本の後進性をいまや十分自覚する能力を与えられ、その自覚に立って、はじめてとっくりと十数年来のことのなりゆきをふりかえり眺めわたせる時期になった。
新しい理解での民主主義文学運動のうちに包括されて、その最も推進的部分をなすのが、プロレタリア文学である。半封建的なものとのたたかいが、日本においてどんなに重大であり複雑であるかということは、こんどの憲法一つを見てもわかる。民法が改正されただけで生活感情の伝統の相剋はなくなると思うものはない。日本の財閥が外見上解体されたとして、どうして徒弟制が絶滅したといえよう。バイブルに、男女は差別ある賃銀を、と書いてはなかろうが、カソリック教徒である日本の文相は、それらを教員たちとの係争点にしている。あらゆる市民が半封建的なものからの離脱を努力しているとき、文学もブルジョア民主主義的立場からの面をもたないわけにはゆかない。人間性の確保、個性の確立は、ここに根をおいて文学の上に主張されうる。けれども、後進の日本は、民法のブルジョア民法としての改訂さえやっと一九四六年に行う状態である。