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さっかのけいけん
作家の経験
宮本 百合子
「展望」1947(昭和22)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,801 字 · 25 页
集団して生きる部族の政治は、ひとかたまりに生きてゆくやりかた、としてはじまって、やがて階級分化を行った人の集団と集団間のいきさつとなっていった。生きてゆくやりかた、の根源には、その集団の定着した地域の自然的条件が重大に関係した。その意味で、生産の現実事情が、集団間の関係としての政治をきめたし、歌うこころもちの波の高低も、おのずから、その社会の生きるやりかたによって、ニュアンスをちがえたことは疑えない。人間社会では、自覚されるされないにかかわらず、客観の事実として、そういうふうに生産と政治が、文学に先行した。そして現在そうであるし、これからもその関係は変らない。
過去のプロレタリア文学の理論は、そこまで社会の客観的現実を見る眼を開いた。いわばその眼は見開かれたっぱなしで、やがて太古エジプトの護符の「眼」のように呪文的にもち扱われた。文学は政治のあとに発生するものであるけれども、固有の狭い意味での政治と文学とは、機能のまったくちがう人間精神の二つの作業であるから、一つが一つに従属するというものではないはずである。社会にあって文学が政治とともに経済の上部構造であるにしても、芸術のように旺盛な人間の創造的表現が、人々の心に訴え、語りかける以上、それがまた立ちかえって政治に影響しないということはありえないことである