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さっかのけいけん
作家の経験
宮本 百合子
「展望」1947(昭和22)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,801 字 · 25 页
文学のうまれる母胎としての社会の階層・階級を、勤労するより多数の人々の群のうちに見いだし、社会の発展の現実の推進力をそれらの勤労階級が掌握しているとおり、未来の文化発展も、そこに大きい決定的な可能として潜在していることを理解したのであった。世界のプロレタリア文学運動は、世界のブルジョア文化とその文学の創造能力の矛盾と限界を見いだして、人類史の発展的モメントとして現世紀に登場している勤労階級の生新な創造性を自覚したところに生れたのであった。
二八年ころ、日本の進歩的社会科学者は、まだその研究の集積において豊富であるとはいえなかった。日本では社会科学そのものが、プロレタリア文学の前駆的な運動とともにうちたてられたばかりの時であったのだから。そのために、日本の社会発展の歴史のこまかい具体的な特徴について、いちどきに、はっきり理解することが不可能であった。フランス、イギリスその他ヨーロッパ諸国のとおり、日本も明治維新によって、ブルジョア革命を完成しきった近代市民社会になっているのか、あるいはそうでないかという点について、大論争が行われていた。山川均を中心とする労農派は、明治維新によって日本のブルジョア革命は完成された、とした。