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びんじょうのずえ

便乗の図絵

宮本 百合子

「光」1948(昭和23)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,614 字 · 19 页

青空文庫

罪のない新聞の読者は、もしかしたら、これも日本が民主的になって、人民の正義がいくらか通る時代になったからではあるまいか、と思ってそれらの記事にも目をそそぐのではなかろうか。けれども、ここで、わたしたちがよくよく心をおちつけて見きわめていなければならない一つの事実がある。それは、一人の次官、あれこれの社長、社会党の誰彼が法廷に出て不正行為をあばかれ、責任を問われようとも、それは、東京裁判における東條英機その他の被告が、きょうの社会にもっている関係に等しいという事実である。

日本の人民生活を、今日の惨苦につき入れ、戦場へやられた一人一人が平和の生活では思いもかけなかった残虐行為を行うようにしむけられたことに対して、日本の人民の戦争責任者追及は、むしろ寛大すぎるとさえいえる。二十万人の戦傷不具者・二十万人以上の戦争未亡人、数しれない戦災者たちは、ひきちぎられ、根こそぎされた自身の生活権について、日本のファシズムこそ敵であったという事実を、どこまできもに銘じているだろうか。

米鬼を殺せ! と一頁ごとに刷ってある『主婦之友』を読みながら、護国の妻の実話にはげまされて、良人や息子を戦場におくった母や妻は、きょう未亡人となって行末を思いわずらい、眠りかねる夜の蚊帳の中で、昔なじみの『主婦之友』