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しゅんかん
俊寛
倉田 百三
「新小説」1919(大正8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页
彼らはわしの武器を取り上げてしまったから、しかし死にきれなかった。わしは死にきれない自分を恥じた。しかし骨肉の愛と清盛に対する復讐心とがわしを死にきれさせなかった。
康頼 侮辱されながら、しかも自殺できないほどの苛責がありましょうか。それは実に一種言いようのないわるい状態です。
成経 清盛めは父とわしとを同じ備前の国に流しました。
康頼 さすがに気の毒に思ったのでしょう。
成経 重盛が懇願したからです。しかし結果は残酷ないたずらと同じになりました。ちょうど中を隔てた一つの檻に親子の獣をつなぐように。わしの配所の児島と父の配所の有木の別所とは間近いのです。しかも決してあうことは許されないのです。その欠乏と恥辱との報知だけはしきりに聞こえるけれども。(間。顔色が悪くなる)ついにわしは父が殺されたといううわさを聞きました。しかしその真否を確かめることができないうちに、この鬼界が島に移されてしまった。
康頼 それはきっと虚報でしょう。重盛が生きている限りはよもや成親殿を殺させはしますまい。自分の愛する妻の兄を! たとえ清盛が何と言いはっても。
成経 (頭を振る)いや虚報ではありますまい。