轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しゅんかん
俊寛
倉田 百三
「新小説」1919(大正8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页
康頼 神様にすがりましょう。霊験あらたかな熊野権現の利益によって――
俊寛 もうよしてください。神の名をきくのもいやな気がする。私は信じません。われわれの神はすでにわれらを見捨てたのではないか。正しきわれらを。そして清盛の悪を祝しているのでないか。
康頼 神のことをそんな言い方なさっては――
俊寛 ちょうど暴虐な主人に仕える犬が、幾たび鞭で打たれても、今度は、今度はと思って、媚びるように尾を振っては、あわれみを乞うような眼つきをして、泣き声をたてるのを聞くようないまいましい気がする。
康頼 (力なく)あなたはわしを犬にたとえるのですか。
俊寛 主人はほかに気にいる犬を手に入れたので、もうその犬を殺そうと無慈悲に決心している。主人の興味はもはやいかにおもしろく殺そうかということにのみかかっている――
康頼 神の名のために、俊寛殿。
俊寛 (ののしるように)われわれはもはや神を捨てて外道を祭ったほうがいいかもしれない。
成経 (耳をおおう)わしはたたりを恐れます。
俊寛 (この前後より山鳴動することはげしくなる)みなたたりかもしれない。(何ごとかを思いだす。おののく)われら一味はもうとくからたたられているのだ。