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しゅんかん

俊寛

倉田 百三

「新小説」1919(大正8)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页

青空文庫

俊寛 もしあなたにとがめがかかったら、わしが立派に申し開きをしよう。その責任はわしがきっとになう。だがそんなことはきっとない。主人の意志は三人を都へ帰すにあるのはわかりきったことなのだから。

基康 その点もあなたが言うほどわしにははっきりしていないのだ。少なくとも赦文の意味を文字どおりに行使するのが最も賢いことがわしにはっきりしているほどには。

俊寛 しかし一度都へ帰ってから、またはるばるこの島まで迎えに来なくてはならないとしたら。

基康 (ある感動をもって)あなたがそういうのはもっともだ。わしは長い船旅には実際弱ってしまった。都を出てから想像もつかないほどの長い日数がかかっている。それに都を去るにつれてだんだん航路が荒くなった。その上九州の本土を離れてからは何という退屈だったろう。都にかえってから、も一度この島に来るというようなことはとても耐えられないことだ。(考える)だがわしは長い間の役目の経験で知っている。一番安全に役目を果たす方法は、いかなる場合にも文書の文字どおりに行使することだということを。わしはもう長い間そういうことに決めているが、やはりいちばん無難なようだ。