轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぞくしゅう

俗臭

織田 作之助

「海風 第五巻六号」海風社、1939(昭和14)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,630 字 · 70 页

青空文庫

このことには権右衛門も三亀雄も関係無しとはいえなかった。否、この取引で最も儲けたのはこの二人であったから、彼等は蒼くなった。伝三郎の家に集り毎晩徹宵で協議をこらした。噂によれば、市治郎はひどい○○に掛けられているとのことだ。しかも彼にはいい逃れる術が無いでもなかった。二人の名を出せばよいのだ。彼等は市治郎の無口な性質と、もと荷車挽きをしていた彼の頑強な身体を唯一の頼みにした。市治郎は、自分には娘が一人しか無い、権右衛門には四人の娘があり、三亀雄には良家の出の嫁があると毎夜留置場で呟いていた。指が千切れてもと歯を喰いしばった。期待にそむかなかった訳である。刑を終え帰って来た時、市治郎は権右衛門、三亀雄の顔を見るなり言った。

「悪いことするなら、一人やぞ」無口者の雄弁とでもいう可きか。以後、二人は市治郎に頭が上がらぬのだ。――市治郎が哀れな政江の身の上に就て漸く意見が纏り掛けた時、しびれを切らした伝三郎が口をひらいた。……伝三郎の饒舌をこゝに写す必要があろうか。彼の家庭では月に二三度出て行け騒ぎがある。一々気にしていてはやり切れぬのか、嫁さんはその都度いたって平気な顔で、出て行けという彼の言葉を受け流す。