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ぞくしゅう
俗臭
織田 作之助
「海風 第五巻六号」海風社、1939(昭和14)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,630 字 · 70 页
三亀雄はほっとし、その女が三十の今日まで独身だという以上は何か訳もあるに違いない、何とかその女を金で動かして自分の妾にする方法はないものかと思うのだった。第二の候補者は美人とはいえなかった。が、処女であるという噂だった。年は二十六で、千恵造には若すぎる、が、とにかく見合をと、いうことになった。流石に千恵造は、今度はかなりめかしこんで見合いに出掛けた。纏った。
意外なことだが、千恵造はその結婚のことで、賀来子に相談したということである。まことに、怪しからぬ事である。千恵造は内地へ戻ってからも、実に頻繁に別れた筈の賀来子に会うているのである。賀来子は南海沿線の天下茶屋に小ぢんまりとした家を借りていて、そこへ千恵造が出掛けていたのだ。賀来子が千恵造と一緒に内地に戻ったのも、このことをしめし合わせてのことだった。すべてこれらの手引きをしたのは船司である。千恵造にまるめられてというより、むしろ左様な智慧を自発的に貸したのだ。これらの事は、伝三郎の店員の口から、あとで洩らされた。その店員は、千恵造の使いで、二三度天下茶屋の賀来子の家へ行ったことがあったのだ。