轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんぎについて
信義について
宮本 百合子
「東京大学新聞」1946(昭和21)年7月23日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,992 字 · 6 页
私は、その事件については、全然何も知らず、すべてを新しい駭きと、人間としての憤りとをもって傍聴したのであった。そして、この駭き、この憤りを感じてここにかけている一人の小さい女は、妻ではあるが同時に作家である。その意味では、民衆の歴史の証人である責任をも感じつつ、春から夏へと、傍聴をつづけた。
分離の公判で、はじめて逸見重雄氏を見た。そのときは、上下とも白い洋服で瀟洒たる紳士であった。仏語に堪能で、海軍の仏印侵略のために、有用な協力をしているというような地位もそのとき知ったように思う。
「野呂栄太郎の追憶」の終りにかかれている堂々の発言を見て、私の心が激しくつき動かされたのは、今から七年前の暑い夏、埃くさい公判廷で幾日も見た光景が、まざまざと、甦って来たからである。一個のマルクシストであり、中央委員であった人物が、残酷な悪法に挫かれて、理性を偽り、これからは共産主義に対してたたかうことを生涯の目的とするという意味の上申書を公表しなければならなかったことは悲劇である。どんなに日本の治安維持法は暴虐で、通常人の判断も意志も破壊するものであったかを語っている。