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はいゆうとげんだいじんのせいかつ(たいわご)
俳優と現代人の生活(対話Ⅴ)
岸田 国士
「悲劇喜劇 第四巻第四号(四・五月号)」1950(昭和25)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,338 字 · 15 页
岸田 僕自身は演出家として適任だとは思わないが、だから、僕は標準にはならないが、今の演出家じや、だれだつてそれは出来ないと思いますね。それをやるとむしろ危険の方が大きい。早く言うと結局形をつけてやらなければならない事になる。これは一番ごまかせますが、早い話がそこは新派的だからやめなさいといつても、その人によつては無意識にやつている事があるかも知れない。新派的であるからいけないという事であれば、ただある部分を削り取るより仕方がない。よさせる方法がない、それを防ぐためにもつと新派を離れたものを、早く言うと現代的というか、あるいは西欧的な一つの形でゆく、そういう感じとか表現をつけさせる。それは築地小劇場の初期に行われたやり方だ。志賀直哉さんの言葉を借りて言えば「火の通らん」芝居、舞台という事になる。この言葉は非常に面白い言葉だと思いますね。翻訳劇は火が通つていないからつまらない……。
A これは杉村さんばかりじやあないが、田村さんはじめ他の全部の俳優が持つている。たゞ杉村さんがずつと舞台をふんでいるだけに、特にはつきりしている。
岸田 杉村君の場合について言えば、やつぱり芸熱心で、相当古い芝居の芸というものを色んなところから取り入れ、それで自分の演技を豊かにしようと努めたんだ。